ベスト・バイ・フォーレ「レクイエム」 〜ラジオ・フランス「音盤討論」より;) フォレは、基本的に好きな作曲家だが、いちばん名曲と…









ベスト・バイ・フォーレ「レクイエム」

〜ラジオ・フランス「音盤討論」より;)

フォレは、基本的に好きな作曲家だが、いちばん名曲として知られるレクイエムが好きになったのはわりと遅いような気がする。

…これは、個人史上では、サリンジャー、ナイン・ストーリィズは好きだったのに、なかなかライ麦畑のキャッチャーを好きになれなかった事象と、表面的にはどことなく通じる…(笑)

それはエレヴェッグ(フランス読み。日本ではヘルヴェッレ、などと書かれてるはず)旧盤、1893年版を聴いてからで、
もちろん個人的なタイミング、受け入れ状態にもよるのだろうが、
それまでも名盤中の名盤としてクリュイタンス盤などは*聴かされて*いたが(笑)
管弦楽の拡大された1900年万博版より小規模な、初期の編成で演奏されるこのエレヴェッグ旧盤1893年版との出会い以来、
一部の特に好きだったピアノや室内楽曲などと並び、世間並みに(笑)フォレの名曲として折にふれレクイエムも聴くようになった。

その後同じく名盤中の名盤とされるコルボ盤などは聴いたが、ある意味個人的なブレイクスルーとなったエレヴェッグ盤に*満足*していたような節もある(笑)

それがラジオ・フランスで、この1893年版(日本ではオリジナル盤、原典盤、2稿版など、様々に記されているようだが。成立史はwikiならフランス版の方が判りやすい。)の聴き比べをする、というので聴いてみた。

La tribune des critiques de disques Requiem de Fauré

これは毎週やっている、ブラインド・テストによる音楽評論家の討論番組で、同じ曲の同じ場所を数種類聴いていって、最終的にベストの1枚を決める、というもの。
評価を決定するまで演奏者の名前は伏せられているので、
名盤の誉れ高い録音を討論の結果、全員一致で落としてしまう場合もあり(笑)
そういうスリルや、また、音楽をことばに表すフランス語がいろいろに学べる、、というような興味もあって;)
好きな曲、興味のある曲の時は気づけば聴くようにしてるのだが、
クラシックが好きで、音楽がよく判って、フランス語が少し判る人であれば、めちゃくちゃ面白い番組だと思う。

…実際に聴いたのはだいぶ前、2月の放送だったが、その後kindle本第2作
『小説文を想像力をふくらませて読んではいけない理由〜国語ぎらいには理由があった!!』(kindle版)のリリース、その他の諸事情で、どうも立て込み、ポストは今になってしまった…というわけです;)

この番組の聴き比べを聴いてみて思ったのは、
当時は非常に清新な感じのしたエレヴェッグ盤だったが、
以来1893年版の演奏も、大きく進歩しているのだなぁ。。ということで、
現にこのエレヴェッグ旧録盤は今回のブラインド・テストでは、ほとんど真っ先に落とされていた(笑)

結果だけ聞いたら、そんなばかな…という感じだが、
番組を聴きながら、出演者と同じくブラインドで聴き比べていると、
その判断には説得力があり、同意せざるを得ない。

結論からいってw まず、今回の番組上堂々1位に輝いたのは:

Elin Manahan Thomas, Roderick Williams, The Sixteen, Academy of St Martin in the Fields, dir. Harry Christophers (Coro, 2007) | 輸入元情報

一聴明らかに違う演奏で、表現の幅が広く、これまで親しんできた録音含め、他の演奏が単調に聴こえる。

第2位に輝いた(笑)のは

Sandrine Piau, Stéphane Degout, Accentus, Orchestre National de France, dir. Laurence Equilbey
(Naïve, 2009) | 輸入元情報

↑↑1位のChristophers指揮盤よりさらにスケール感があって、ドラマティック、しかし弦など比較においてやや乱暴な印象も受ける。

番組では、同じ部分、冒頭部Introitusから順番に聴いていったので、次に僕が、お、っと思ったのは最終的には4位となった

Catherine Bott, Gilles Cachemaille, Monteverdi Choir, Orchestre révolutionnaire et romantique, dir. John Eliot Gardiner (Philips, 1992) | 輸入元情報

これはおそらく当今、日本の名曲名盤にも選ばれているかもしれない、ガーディナー盤。日本でもおなじみのビッグ・ネーム、だが、
冒頭後半、なかなかシンフォニックで、↑↑2位のEquilbey指揮盤にもいえることだが、1893年の小規模室内復元版?としてはどうなのか。録音のせいか、合唱はflou、ややはっきりしない印象も…。

次に聴き比べた引用は、Pie Jesu。
全編の中でも特に美しい部分のひとつだが、
↑↑1位Christophers盤が、もう圧倒的、
フランス語ではséraphique、ともいうが、もう、天国的に美しい。

冒頭部と同様、2位Equilbey盤はドラマティック、とはいえる。

↑↑4位Gardiner盤のPie Jesuは、非常に心もとない感じが魅力といえば魅力だが。。この曲に聴き手が求めるものとは、やはり異なるのだろう…。

さて、冒頭部はどうも遅く、もっさりとして冴えない印象を受けたのが、番組上では第3位に輝いた:

Grace Davidson, William Gaunt, Ensemble Tenebrae, Orchestre symphonique de Londres, dir. Nigel Short (LSO Live, 2012) | 輸入元情報

このPie Jesuの透明感、中立感はすごい。
それには巧すぎるが、ボーイソプラノを思い起こさせる。
校注にも、“マドレーヌ(フォレがオルガニストを務めていたパリ8区の大教会)の合唱には女性がなかったので子どもの声のために書かれているが難しく、女性のノン・ヴブラートで成功することが多い、
とあるとのこと。
この3位Short指揮盤、アルバムとしては、バッハの小品集の最後にこのフォレ、レクイエムが入っており、コンピレーション、プレイリスト的で面白い。

番組ではその後Libera Me部分を聴き比べたが、
↑↑2位Equilbey盤のバリトンが絶賛で、
このバリトンが歌い出した途端に、はい、おしまい(第一声で、勝負あった、ということか;)
バリトンだけこれと入れ替えるべき…とかまでいっていた(笑)

番組ではかからなかった部分も含め、いろいろ聴いて、かなり考え、
できれば番組とは違う結論を導きたいところだったが、
(…なんといっても、基本がへそ曲がり、人が右といえば、とりあえず、左、というのが常に僕のファースト・ステップですので。。;)
結局、結局、結局のところ、
もし今、フォレのレクイエム、僕がこの4枚の中から1枚を聴くとすれば。。。
そして、もし今僕が誰かにフォレのレクイエムを1枚だけ薦めるとすれば
(エレヴェッグ、コルボ、クリュイタンス盤を含め!)
この番組の1位となった、クリストファー盤にするのではないか。。と思います;)

フォーレ レクイエム Fauré: Requiem - The Sixteen, Academy of St Martin in the Fields, Harry Christophers, dir. | 輸入元情報

有名なレクイエムの中でも最も柔和な、死の恐怖より死後の天国、安らぎを歌い、特に残された人たちには愛される、子守唄のようとも呼ばれた鎮魂の曲;)

番組全体をembedして、こちらでも聴けるようにしておきます。
…フランス語が判らないからその部分が飛ばしたい、ということはあるかもしれませんが、
HPにも書いたように、パソコンのモニター程度の非力なスピーカーで聴いた限り、ラジオ・フランスの方がなぜか・なぜか、圧倒的に音がいいので(笑)

この1893版は初演時、ラテン語の歌詞がフランス語読みされていたという話があり、その発音の話にも結構触れられています。いうまでもなく、この曲を実際に演奏する、合唱に参加する、という人には大変興味深いところだろう、と思います。

なお、その後、今年の新譜として、編成、年代楽器の使用はもちろん、問題のその発音のあたりまで初演時を踏まえた、という録音が出ましたので、ついでにこちらもあわせてご紹介しておくと:

フォーレ レクイエム Fauré: Requiem - Ensemble Aedes, Les Siècles, Mathieu Romano, dir. | 輸入元情報

…美しいが、なかなか荘重な演奏となっておりますね;)

#クラシック

yuichihiranaka:
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『小説文を想像力をふくらませて読んではいけない理由』

-国語嫌いには理由があった!!-
SNSで反響の大きかった、日本語、言語に関するポストを選りすぐり
+書き下ろしテクスト×3
《視点を変えれば、見えてくる。》



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