
- Riccardo Muti, au Musikverein de Vienne, nouvel an 2021.
(via What did Riccardo Muti say at the New Year’s Day Concert 2021?)
…この前には、大意として、
私たちはこの異常な状況で、ニュー・イヤー・コンサートの演奏を行いました。
全世界の皆さんが見ていると判っていても、
この美しい歴史的なホールの空っぽの客席の前で演奏するというのは、奇妙なものです。
しかしVPOは素晴らしい演奏をしました。皆さんにいい音楽をお届けしたいからというだけでなく、このオーケストラはいつもブラームス、ブルックナー、マーラーの精霊に守られているからです。他にも数多くの作曲家たち、演奏家たちがここには宿り、このホールを“歴史”としたのです。
…という話があり、次に
いうまでもなく、私たちはみんな本当に困難な一年を過ごしたわけで、“Horribilis Annus”、酷い年とラテン語ならいうところでしょうが、
それでも、私たちはまだこの場所にいて、音楽の力を信じている。音楽は、私たち音楽家は、喜び、希望、平和、愛というものを届ける力を持っている。
つまり、音楽が重要なのは、それが人を楽しませるものだからじゃない。どこへ行っても音楽をエンターテインメントだとみなす考えばかりが目に付きますが、
音楽はただの仕事ではない、ひとつの使命です。だからこそ音楽家はこの仕事をやるのです。
その使命とは何か。それは、社会をよりよくすることです。
…というところから、引用部分、変に大意を伝えては、力強さが伝わらないとも思いますが、
考えてもみてください。これからを担うひとつの世代が、まるまる一年間、深いことを考える機会を奪われてしまった。考えたのはただ、健康のことばかり。健康はいちばん大事なものですよ、でも精神の健康だって同じように大事です。そして音楽はそれを助けます。
だから私のメッセージは、全世界の支配者、大統領、首相に対して、
文化を常にいちばん基本的で大事な要素だと考えろ、それはよりよい未来を作るためのものなのだ、ということです。
このメッセージを込めて、有名な「美しく青きドナウ」を演奏します。
この喜びと悲しみ、生と死に満ちた美しい音楽の波に乗せ、よりよい一年を願うことができれば、と思います。
…という感じ、(うーん、英語のトランスクリプション、僕の記憶とは違いますねー・笑)
この後は、最後に例年通り、型通り、
ヴィーン・フィルより皆さまに
「あけましておめでとう!」
…となっていました。
演奏自体も格別優れていましたが、ムーティの挨拶も、音楽家、芸術家の窮状を背に、非常に力の籠もった、例年にない、異例の、ただの挨拶を越えた強力なメッセージとなっていたと思います。
(Photo facebook.com/ViennaPhilharmonic)
cd、dvdも即座に出ますので(笑)
演奏はもちろん、正しいスピーチの詳細も、こちらでご確認ください:
演奏自体、どこか黒々とした渋い美しさがあって、これもこの例年の華やかな新年のコンサートのなかでは異彩を放つもの。
もうこれは、間違いなく«歴史に残る名盤»と呼べるものになる、と思います。
>>HMVで輸入元による紹介、曲目などを確認<<